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Genu(ジェンユー)完全ガイド - 第1章:概要とセットアップ

1.1 Genuとは

Genu(ジェンユー)は、Amazon Bedrockの基盤モデル(大規模言語モデル)を活用した包括的な生成AIアプリケーションプラットフォームです。企業や組織が生成AIの力を最大限に活用できるよう設計された、オールインワンソリューションです。

1.1.1 Genuが提供する主要機能

Genuは以下の多様な機能を統合したプラットフォームとして提供されます:

  • 基本チャット機能:対話型AIによる質問応答、コード生成、画像解析
  • RAGチャット機能:社内データを活用した正確な情報提供
  • 文章生成機能:ビジネス文書、メール、レポートの自動生成
  • 要約機能:長文文書や会議ログの効率的な要約
  • 翻訳機能:多言語間の高精度翻訳
  • Webコンテンツ抽出機能:Webページからの情報抽出と構造化
  • 画像生成機能:テキストからの画像生成
  • 音声チャット機能:双方向の音声対話
  • 執筆・校正機能:文章の推敲、校閲、ファクトチェック
  • 議事録機能:音声からの自動議事録生成
  • ユースケースビルダー:独自機能の簡単な作成と共有
  • AIエージェント機能:自律的なタスク実行(Agents for Amazon Bedrock)

1.1.2 Genuの技術基盤

Genuは以下のAWSサービスを活用して構築されています:

  • Amazon Bedrock:大規模言語モデルの提供
  • Claude 3.5 Sonnet v2(デフォルト)
  • Claude 3.5 Haiku
  • Amazon Nova シリーズ
  • Stability AI Stable Diffusion XL(画像生成)
  • Amazon Kendra または Knowledge Bases for Amazon Bedrock:RAG機能の実装
  • AWS CDK または AWS CloudFormation:インフラストラクチャのコード化とデプロイ
  • Amazon Cognito:ユーザー認証とアクセス管理
  • AWS WAF:セキュリティとアクセス制御
  • Amazon S3:データストレージ
  • AWS Lambda:サーバーレス処理

1.1.3 Genuの利用シナリオ

Genuは以下のような幅広いビジネスシーンで活用できます:

  • カスタマーサポート:顧客対応の効率化と品質向上
  • 社内問い合わせ対応:社内規定や手順書へのアクセス改善
  • ドキュメント作成:報告書、メール、提案書の迅速な作成
  • コンテンツ制作:マーケティング素材やデザインアイデアの生成
  • 会議効率化:議事録の自動生成とアクションアイテムの明確化
  • 開発支援:コード生成、レビュー、ドキュメント作成
  • 多言語コミュニケーション:グローバルビジネスの支援

1.2 事前準備

Genuを利用するには、以下の準備が必要です。

1.2.1 AWSアカウントの準備

自身のアカウントでワークショップを実施する場合

  1. AWSアカウントへのログイン
  2. 有効なAWSアカウントを持っていることを確認
  3. 適切な権限(管理者権限推奨)を持つIAMユーザーまたはルートアカウントでログイン

  4. Amazon Bedrockモデルへのアクセス有効化

  5. AWSマネジメントコンソールで「Amazon Bedrock」を検索
  6. 左側のメニューから「モデルアクセス」を選択
  7. 以下のモデルへのアクセスを有効化:
    • Anthropic Claude 3.5 Sonnet v2
    • Anthropic Claude 3.5 Haiku
    • Amazon Nova Pro
    • Amazon Nova Lite
    • Amazon Nova Canvas(画像生成を利用する場合)
    • Stability AI Stable Diffusion XL(画像生成を利用する場合)
  8. アクセスリクエストの承認には数分から数十分かかる場合があります

AWS主催のイベントに参加している場合

  1. イベント専用アカウントの取得
  2. イベント主催者から提供される一時的なAWSアカウント情報を確認
  3. Workshop Studioなどのプラットフォームを通じてアクセス

  4. モデルアクセスの確認

  5. イベント用アカウントでは、必要なモデルへのアクセスが事前に有効化されている場合があります
  6. Amazon Bedrockコンソールで確認してください

1.2.2 開発環境の準備(CDKを使用する場合)

AWS CDKを使用してGenuをデプロイする場合、以下の環境が必要です:

AWS Code Editorの利用(推奨)

AWS Code Editorは、SageMaker上で動作するクラウドベースの開発環境です:

  1. AWS Code Editorの起動
  2. SageMakerコンソールにアクセス
  3. 「Code Editor」を選択して起動
  4. 起動には数分かかります

  5. 必要なツールの確認

  6. Node.js(推奨バージョン:18.x以上)
  7. npm(Node.jsに含まれる)
  8. Git
  9. AWS CLI これらはCode Editorにプリインストールされています

ローカル環境の利用

ローカルPCで開発する場合は、以下をインストールしてください:

  1. Node.js(バージョン18.x以上)
  2. https://nodejs.org/ からダウンロード
  3. インストール後、node --versionで確認

  4. AWS CLI

  5. https://aws.amazon.com/cli/ からダウンロード
  6. aws configureでAWSクレデンシャルを設定

  7. Git

  8. https://git-scm.com/ からダウンロード

  9. エディタ(Visual Studio Code推奨)

  10. https://code.visualstudio.com/

1.2.3 リソースのコスト見積もり

Genuを運用する際のコスト要素:

固定コスト

  • Amazon Cognito:ユーザー認証(月間アクティブユーザー数に応じた課金)
  • Amazon CloudFront:コンテンツ配信(データ転送量に応じた課金)
  • AWS Lambda:APIリクエスト処理(リクエスト数と実行時間に応じた課金)

利用量に応じたコスト

  • Amazon Bedrock:モデル利用料金
  • 入力トークン数と出力トークン数に応じた課金
  • モデルによって料金が異なる(Claude 3.5 Sonnetは高機能で高価格、Haikuは高速で低価格)
  • RAG機能(利用する場合)
  • Amazon Kendra:インデックスサイズとクエリ数に応じた課金
  • Knowledge Bases:OpenSearch Serverlessの利用料金
  • Amazon S3:ストレージとデータ転送
  • 画像生成機能(利用する場合):生成枚数に応じた課金

コスト削減のポイント

  • 検証環境では、使用しない時間帯にリソースを停止
  • RAGはKnowledge Bases(OpenSearch Serverless)を選択し、冗長化を無効にすることでコスト削減可能
  • モデル選択時は用途に応じて適切なモデルを使い分ける

1.2.4 リージョンの選択

Genuをデプロイするリージョンの選択は重要です:

推奨リージョン

  • ap-northeast-1(東京):日本国内での利用に最適
  • us-east-1(バージニア北部):最も多くのモデルとサービスが利用可能
  • us-west-2(オレゴン):米国西海岸での利用に適している

リージョン選択の考慮事項

  • モデルの利用可能性:すべてのBedrockモデルがすべてのリージョンで利用できるわけではありません
  • レイテンシ:ユーザーに近いリージョンを選択することで応答速度が向上
  • データレジデンシー:データの保管場所に関する法規制がある場合は該当リージョンを選択
  • コスト:リージョンによってサービスの料金が異なる場合があります

1.3 Genuのアカウント作成とログイン

Genuアプリケーションをデプロイした後、ユーザーアカウントを作成してログインします。

1.3.1 初回アカウント作成

  1. アプリケーションURLへのアクセス
  2. デプロイ完了時に出力されたWebUrl(例:https://xxxx.cloudfront.net)にアクセス
  3. ブラウザで認証画面が表示されます

  4. アカウント登録

  5. 「アカウントを作る」タブをクリック
  6. 以下の情報を入力:

    • ユーザー名:有効なメールアドレス
    • パスワード:以下の要件を満たす必要があります
    • 8文字以上
    • 大文字を1文字以上含む
    • 数字を1文字以上含む
    • 記号を1文字以上含む
    • 使用可能な記号:^ $ * . [ ] { } ( ) ? " ! @ # % & / \ , > < ' : ; | _ ~ = + -`
  7. メール確認

  8. 登録したメールアドレスに確認コードが送信されます
  9. 確認コードを入力してアカウントを有効化
  10. ログインが完了します

1.3.2 ログイン方法

初回登録後、以下の手順でログインできます:

  1. アプリケーションURLにアクセス
  2. 登録したメールアドレスとパスワードを入力
  3. 「ログイン」ボタンをクリック

1.3.3 パスワードのリセット

パスワードを忘れた場合:

  1. ログイン画面で「パスワードをお忘れですか?」をクリック
  2. 登録したメールアドレスを入力
  3. メールで受信した確認コードを入力
  4. 新しいパスワードを設定

1.3.4 セルフサインアップの無効化(管理者向け)

本番環境では、セキュリティのためセルフサインアップを無効化することを推奨します。無効化の詳細は第9章で説明します。

1.4 Genuの画面構成

ログイン後、以下のような画面構成でGenuを利用できます:

1.4.1 ホーム画面

  • サイドバー:各機能へのナビゲーション
  • チャット
  • RAGチャット
  • 文章生成
  • 要約
  • 翻訳
  • Webコンテンツ抽出
  • 画像生成
  • 音声チャット
  • 執筆
  • 議事録
  • マイユースケース(ユースケースビルダー)
  • Agentチャット(有効化している場合)

  • ヘッダー

  • モデル選択ドロップダウン
  • ユーザーメニュー(ログアウト等)
  • ビルダーモード切り替え(ユースケース作成時)

1.4.2 機能の概要説明

各機能をクリックすると、「デモ」ボタンが表示されます。これをクリックすることで、その機能の使い方を示すサンプルプロンプトやデモンストレーションを確認できます。

1.4.3 ユーザー設定

右上のユーザーアイコンから、以下の設定を変更できます:

  • プロフィール情報の編集
  • パスワードの変更
  • 言語設定(日本語/英語)
  • ログアウト

まとめ

第1章では、Genuの概要、必要な事前準備、アカウント作成、基本的な画面構成について説明しました。次章では、Genuの中核機能である基本チャット機能の詳細な使い方を解説します。